見栄、嘘、資本主義 第23回|男前の定義【2/4】
吉岡:
まぁさっきのちょっとラジオの話で、
芦名:
はいはい。
吉岡:
うーん、ライザップさんがこうちょっと見栄を張り過ぎて事業を展開し過ぎちゃったみたいな話があったんですけど。
芦名:
はい。前回の放送の。
吉岡:
うん、前回の放送の。見栄っていうのは、何だろう、
見栄と嘘は違うんですか?
芦名:
うーん。まぁグラデーションですね。
吉岡:
あぁー。なるほどね。
芦名:
例えば見栄っていうのは、僕が例えばあの、
昨日石原さとみとご飯したとするじゃないですか。
吉岡:
はいはい。びっくりした。本当かと思った(笑)
芦名:
したら、あの、昨日石原さとみと飯食ったんだよねー、っていうのは見栄ですか?
吉岡:
嘘じゃないんですよね、だって。
芦名:
嘘じゃないじゃないですか。
吉岡:
うんうん。へぇ、すご!ってなりますよね。
芦名:
で、それがまぁちょっと別に昨日セブンイレブンでアイス買ったんだよねっていう事実の報告でもいい訳じゃないですか。
吉岡:
うん。アハハ。
芦名:
でもそこをわざわざ石原さとみとご飯食べたっていう事実をチョイスしてる訳で。
吉岡:
はいはい。
芦名:
その目的がどこにあるかって言うと、人からすごいって言われたいっていう。まずその第一歩目が始まった訳じゃないですか。
吉岡:
はいはい、はいはい。
芦名:
で、それがそのうち、あの、芋な奴になってくると、
今度どんどん、石原さとみと飯食ったんだよねっていうのが本当はデートじゃなくて、
本当は大勢の中の、要は10人、20人位のパーティーの中で石原さとみがいたっていうだけなのに、
いや俺昨日石原さとみと飯食ったんだよね、っていうことになってきたりするんですよ。
吉岡:
はいはい(笑)
芦名:
これがもっとエスカレートすると、
なんかそのレストランにいた遠くのテーブルにいた石原さとみなのに、
いや俺石原さとみと飯食ったんだよね、ってなってくるっていう。
吉岡:
アハハ!
芦名:
それがエスカレートしてくると、渋谷、あの、渋谷とか六本木でちょっと、あ!って見たぐらいで、いや昨日石原さとみとあの、会ってさ。
吉岡:
(笑)
芦名:
言ってくるっていう。
で、そうしているうちに、だんだん味をしめてくるんですよね。
あ、なんかこういう、なんかまぁその事実がどうであれ、
人からすごいって思われるってすごい気持ちいいな、みたいな。
吉岡:
うーん!うんうん。なるほどね。
芦名:
そうすると、だんだん嘘をつき始めるんですよね。
吉岡:
うーん!
芦名:
だからそれは嘘をつこうとしてるっていうことが始まりなのではなくて、
人から良く思われたいっていうことが始まりっていう。
吉岡:
あぁー。
芦名:
で、この人間の人から良く思われたいっていう感情は絶対なくならないんですよ。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
その感情こそが資本主義を作ったので。
吉岡:
うんうん。
芦名:
まぁどういうことかって言うと、まぁ昔社会主義だったりとか、要はまぁ皆平等でいいじゃないですかっていう。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
皆平等で頑張り屋さんが、え、僕の方が頑張ってるのにっていう不満が色々ある訳ですよ。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
そしたら村長さんが来て。お前頑張ってるよな。飯でも行くか、って言ってそいつ良い思いをし始めるんですよ。
吉岡:
はいはい、はいはい。
芦名:
つまり、頑張ったら良い思いをする、ができるっていうふうに今度だんだん餌が変わってくるんですよ。
吉岡:
はいはい、はいはい。
芦名:
今までは頑張って、自分が頑張りたいから頑張ってるっていう世界だったのに、頑張ったら評価される。
吉岡:
うーん。
芦名:
ってなると、皆頑張りたくなるじゃないですか。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
で、皆頑張ると、こんなに頑張ってるのになんかもっとくださいよ、みたいになるじゃないですか。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
僕の方がご褒美、僕の方がご褒美。
吉岡:
はいはい、はいはい。
芦名:
そうすると村長さん1人じゃないですか。そんなご褒美毎日行ってられないんですよ。
じゃあこの米俵1つでいいか、みたいな。どんどん物に変わってくるっていう。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
で、それが金が生まれた訳ですよね。
吉岡:
あぁ、はいはい。
芦名:
金が生まれたっていうことよりも、その評価の尺度としてお金っていうのがすごくわかりやすかったっていう。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
だから今のカルロス・ゴーンもそうですけど。俺がこんだけ頑張ってるんだから10億。
それは当たり前だろうっていう。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
っていうだけの話です。別に彼が10億を使うとか使わないとかじゃなくて、評価として日本人のポンコツ役員が1億。いやだったら俺は10億だろう。
吉岡:
うーん!
芦名:
だって俺の方が10倍スゲーし、むしろアイツ1億ももらいすぎだっていう。
吉岡:
うーん!なるほどね。
芦名:
それはもうナチュラルな話なので。
吉岡:
うんうん、うんうん。
芦名:
で、何でしたっけ。見栄の話でしたっけ。
吉岡:
見栄の話。だから見栄はなくならないってことですか。
芦名:
なくならないです。うん、なくならないですね。
吉岡:
うーん!なるほどね。でも見栄があることで、
なんか本当の自分が出せていない、みたいなのもあるってことですか?
芦名:
その見栄を張ることも含めて本当の自分ですよね。
吉岡:
あぁ。
芦名:
「見栄を張ってしまって本当の自分を出せてないんだよね」っていう、
それが本当の自分みたいな。
吉岡:
あぁ、なるほどね。